ついに始まった2023年のワールドベースボールクラシック(以降WBCと表記)。
WBC初出場となるエンゼルス大谷翔平選手を始めとした豪華メンバーが集結し、史上最強との呼び声も高い今大会の侍ジャパン。
毎朝の野球ニュースを楽しみにしている人も多いですよね。
日本のニュースや実況も良いですが、海外のニュースや実況でどのように報じられているのか気になる人もいるのではないでしょうか。
侍ジャパンを応援しつつ、野球を通して英語力も鍛えられれば最高!!
というわけでWBCのニュースや実況に登場する英語表現について取り上げていきたいと思います。
今回の実況動画
今回はWBC2023準々決勝の日本対イタリア戦を報じたこちらの動画(MLB公式動画より)を取り上げました。
引用元:MLB公式Youtubeチャンネル(https://youtu.be/OJkCbaK0WnU)より
なお、ボリュームが多いので今回は記事を前編と後編の2回に分けています。
こちらの後編では5回~9回までの内容について触れています。
cf. WBC2023準々決勝 日本 vs イタリア戦(前編)の実況動画はこちら
cf. WBC2023準決勝 日本 vs メキシコ戦の実況動画はこちら
cf. WBC2023決勝 日本 vs アメリカ戦はこちら
Scene1 5回表 イタリア、2アウトからの粘りの反撃!
まずは4:54~6:26のシーン。
2アウトから粘りを見せ、ついにイタリアが反撃を開始します。
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スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
実況者(play-by-play commentator):
“One down in the fifth. Bad time, he loses the first pitch to DeLuzio.”
(5回ワンアウト。苦しい時間帯、デルジオへの初球は失投です。)
解説者(color/expert commentator):
“If you’re gonna get hit①, get hit by 83 and not 102.”
(デッドボールをくらうなら、時速102マイルよりも83マイルの方ですね。)
実況者:
“And for a second time, we’ll have Halo② versus Halo, Ohtani and David Fletcher. And Fletcher with a little cue ball through the right side going first to third. DeLuzio and Italians are starting to feel it these last couple of③ innings against Ohtani.”
(エンゼルス対エンゼルス、大谷とデービッド・フレッチャーの二度目の対戦です。フレッチャーが弱いビリヤードの玉をライト方向へ放ち(ファーストランナーは)ファーストからサードへ。デルジオとイタリア人達がこの何イニングか大谷に合わせ始めています。)
解説者:
“Big opportunity④ in front of Sal Frelick(サル・フレリク)
No.2 prospect⑤ in the Milwaukee Brewers organization.”
(ミルウォーキー・ブルワーズのNo.2有力株のサル・フレリクの目の前に大きなチャンスが訪れました。)
実況者
“Popped up. Who’s got it? Nootbaar in. DeLuzio will tag. And Nootbaar throws, goes and back to third. To escape the fifth unscathed⑥, have to battle it out⑦ with the hottest hitter for team Italy, Nicky Lopez. That hits Lopez on the leg to load the bases⑧. “
(打ち上げました。誰がとる?ヌートバーが捕球に入ります。デルジオがタッチアップ。ヌートバーが送球し、(デルジオは)サードに戻ります。5回を無傷で逃れるためには、イタリアチームで最も手強いバッターであるニッキー・ロペスと雌雄を決しなければいけません。投球がロペスの足に当たり満塁になります。)
解説者:
“The leash⑨ is getting shorter. There’s Shohei has struggled⑩ a little bit in in consecutive⑪ innings now.”
(球数制限がわずかになってきています。立て続けのイニング、大谷翔平は少し悪戦苦闘しています。)
実況者:
“Now they’re loaded for Dominic Fletcher. Dominic Fletcher doesn’t hit it hard but gets it down in right field! DeLuzio scores. David Fletcher will follow. Italy has cut the deficit⑫ in half⑬.”
(さあ満塁でドミニク・フレッチャーを迎えます。当たりは強くないがライトに落ちます!デルジオが帰ってきて、デービッド・フレッチャーも続きます。イタリアが点差を半分に縮めました。)
解説者:
“We’re fighting Italians that made it a hard night here for Shohei Ohtani.”
(我々は、大谷翔平にとって苦しい試合にする戦うイタリア人なのです。)
実況者:
“Dominic Fletcher came through the base hit with two out in the fifth. That forces Hideki Kuriyama to the bullpen.”
(ドミニク・フレッチャーが5回2アウトからヒットを放ちました。それによって栗山英樹(監督)はブルペンに行かざる(=投手交代せざる)を得ません。)
<主な語句>
① get hit = デッドボールをくらう
② Halo = (天使の輪にかけた)エンゼルスメンバーの愛称。”Halos(ヘイローズ)”と複数形で登場することが多いですが、今回は1対1という意味で”Halo”となっています。
③ couple of ~ = いくつかの~
④ opportunity = 機会、チャンス
⑤ prospect = 有望株
⑥ unscathed = 無傷の
⑦ battle it out = 雌雄を決する
⑧ load the bases = 満塁にする
⑨ leash = [名]拘束、束縛
⑩ struggle = もがく
⑪ consecutive = [形]連続する
⑫ deficit = 点差
⑬ in half = 半分に
『点差を半分にする』って英語で何て言う?
この動画でも出てきた通り『点差を半分にする』は“cut a deficit in half”と表現します。”deficit”はもともと『不足』という意味がありますが、スポーツで登場すると『点差』という意味になります。”in half”は『半分に』という意味で、”cut~”には『~を削減する』という意味があるので上記の意味になります。
Scene2 5回裏 村上選手、岡本選手のタイムリーで突き放す侍ジャパン!
つづいて6:26~7:20のシーン。
イタリアに得点を許したその回のウラ、村上選手、岡本選手のタイムリーが飛び出し、突き放します。
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スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
実況者(play-by-play commentator):
“Two on, nobody out in the bottom of the fifth. Munetaka Murakami.
Murakami on the first pitch drives① it to center field! That ball off the bottom of the wall! Murakami! Breaks through② in the World Baseball Classic! Hits 5-2 Japan.”
(5回裏、ノーアウトでランナーは二人。村上宗隆を迎えます。村上が初球を捉えてセンターへ強い当たりを放った!ボールがフェンスの下にあたる!村上!WBCでの不振を克服しました!ヒットで5-2になり日本がリード。)
解説者(color/expert commentator):
“Left center field, center field, glad he’s able to get some wood on it③ and get a result.”
(左中間、センター方向へ、ボールをうまく捉えて、結果を出しましたね。)
実況者:
“Okamoto! Goes the other way④ on his first pitch! Double get down to empty extra bases! Two more will score! Kazuma Okamoto here tonight!”
(岡本!初球を逆方向へ!2,3塁走者を一掃する2ベースヒット!さらに2点が入ります!岡本和真ここにあり!)
解説者:
“Powers of much needed. Sigh⑤, relief⑥, smiles. Shohei greets⑦ Munetaka. But, it’s about the big man⑧. The 30 homer power. What a night! Line-byline⑨. Clutch⑩. And getting the applause⑪. He really deserves⑫.”
(多くの能力が必要です。ホッとして息を吐き、安心し、笑っています。翔平が宗隆を迎えています。でも、大物について触れましょう。30ホームランのパワー。なんて夜なんでしょう!正確で勝負強い。拍手喝采を受けています。彼は本当にそれにふさわしいです。)
<主な語句>
① drive ~ = ~をかっ飛ばす
② break through = 克服する
③ get some wood on it = ボールをうまく捉える
④ the other way = 逆方向の
⑤ sigh = 溜息をつく
⑥ relief = 安心する
⑦ greet ~ = ~に挨拶する
⑧ big man = 大物
⑨ line-byline = 正確な
⑩ clutch =[形]チャンス/ピンチに強い
⑪ applause = 拍手喝采
⑫ deserve = [自]ふさわしい
“get good wood on the ball”ってどういう意味?
この動画で登場した”get some wood on it”という表現。元は”get good wood on the ball”や”get some lumber on the ball”などいう形でよく登場するのですが、『ボールをバットでうまく捉える』という意味になります。
『ボールに対してよい木材(バット)をあてがう』⇒『ボールをバットでうまく捉える』みたいなイメージを持つと覚えやすいかもしれません。
『ふさわしい』って英語で何て言う?
『ふさわしい』は英語だと“deserve”と表現します。以下のように他動詞で使われることが多いです。
例文:Considering his effort, he deserves the success.
和訳:彼の努力を考えれば、成功するのも納得です。
例文:She deserves to be a leader.
和訳:彼女はリーダーにふさわしい。
Scene3 7回表 ダルビッシュ選手がリリーフで登場!
つづいて7:22~7:49のシーン。
7回表、ダルビッシュ有選手がリリーフとして登板します!
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スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
解説者(color/expert commentator):
“Yu Darvish takes him out now for Team Samurai Japan here in the top of the 7th inning. A comfortable① lead 7-2.”
(ダルビッシュ有が7回の表に侍ジャパンのために登板します。7-2の大差でリードしています。)
実況者(play-by-play commentator):
“2-2. Freezes him!② 1-1 on David Fletcher. And Fletcher, a one-hopper③ to Murakami. Long throw. He makes it take a second out. A 3-1 grounded to short. Darvish sends the Italians down 1-2-3④.”
(カウント2-2。見逃し三振!カウント1-1からデービッド・フレッチャーへの投げます。フレッチャー、村上へワンバウンドのゴロ。長い距離の送球。うまく処理して2アウト目を撮りました。3-1からショートへのゴロ。ダルビッシュ、イタリアを3者凡退に抑えました。)
<主な語句>
① comfortable = 大差の、十分な(第一義が『心地よい』なので何となく想像つきそうでしょうか)
② Freezes him! = 見逃し三振!
③ one-hopper = ワンバウンドのゴロ
④ send ~ down 1-2-3 = ~を三者凡退に抑える(“1-2-3 inning”で『三者凡退のイニング』を意味します)
『ワンバウンド』って英語で何て言う?
『ワンバウンド』は英語では“one-hopper”や”one bounce”と表現されます。
“one bound”って和製英語なんです。
Scene4 7回裏 侍ジャパンがさらに追加点!
つづいて7:49~8:53のシーン。
7回裏、侍ジャパンがさらに追加点をあげます!
吉田選手のホームランを始め、小指を骨折中の源田選手にもタイムリーが飛び出します!
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スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
実況者(play-by-play commentator):
“Masataka Yoshida. That ball is crushed①!. Masataka Yoshida with a sensational② tournament!”
(吉田正尚です。強烈なあたり。素晴らしいトーナメントで見せてくれました!)
解説者(color/expert commentator):
“Not only has he shown the ability to spray③ the ball around and be
clutch④? Gave you tough at bat? But yes, he misses spot
and he will hit it a long ways as he just did against the left-handed⑤ pitcher here.”
(彼はボールを広角に打って、勝負強い能力を見せただけではないのでしょうか?打席で苦しんでいた?そうです。ちょうど左ピッチャーからやってのけたように、詰まっても長距離を飛ばせるのです。)
実況者:
“Festa enters. Matt Festa, the Seattle Mariners. The tall task⑥, first and second, still nobody out. Maki down the line right field, tailing⑦ toward the excite seats but it stays in play. Tagging up⑧ is Murakami. He moves up to third base. Four-time All-Star in 6 NPB seasons, it is Sosuke Genda. Genda! Flies it to right field and tacks on⑨ another!”
(フェスタが登板します。マット・フェスタ、シアトルマリナーズ所属です。ランナー1,2塁、未だノーアウト(の中での登板)という、とても大変な仕事です。牧が打ち上げてライト線へ、(野手が)エキサイトシートの方へ追っていき捕球しますが、まだインプレーです。村上がタッチアップ。3塁まで行きました。NPB 6シーズン中4度オールスターに選出されたました。源田壮亮です。源田!ライトへのヒットで、さらに追加点!)
解説者:
“There’s no letting up⑩. Tacking on some runs never enough.”
(攻撃の勢いが止まりません。2,3点加えるだけでは決して満足しないのです。)
<主な語句>
① crush ~ = ~をかっ飛ばす
② sensational = 素晴らしい、世間を驚かせるような
③ spray the ball = ボールを広角に打つ
④ clutch = チャンス/ピンチに強い
⑤ left-handed = 左投げの、左利きの
⑥ tall task = とても骨の折れる課題
⑦ tail = 追う
⑧ tag up = タッチアップする
⑨ tack on ~ = ~を加える
⑩ let up = (勢いなどが)弱まる、(雨や雪が)やむ
“tall task”ってどういう意味?
“tall task”は『とても骨の折れる課題』という意味があります。仕事が山積みになって高くなっているイメージで”tall”を捉えるとわかりやすいかもしれません。
『タッチアップ』って英語で何て言う?
『タッチアップ』は和製英語で、英語では“tag up”と表現されます。ちなみに”touch up”は『修正する』という意味になります(全然意味が違いますね…)。
Scene5 9回表 侍ジャパン 勝利の瞬間!
最後は9:13~9:55のシーン。
9回表、最後は大勢選手が締めくくりついに勝利の瞬間を迎えます!
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スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
実況者(play-by-play commentator):
“The runners do advance put. Two down now. Japan, a strike away. Strike three call! Samurai Japan stays unbeaten①. They’re headed back to② the semifinals③ at the World Baseball Classic. The only country to make it to the semis④ in every installment⑤ of the tournament.”
((前の打者のゴロの間に)ランナーが進塁しました。現在、2アウト。日本、あとストライク一つです。三振!スター軍団の日本、無敗のままです。彼らがWBCの準決勝に戻ってきます。全ての回で準決勝まで勝ち残った唯一の国です。)
解説者(color/expert commentator):
“The top of the class shows it’s true class, is pretty much like a well synchronized⑥ orchestra, I mean, they utilize⑦ every single instrument⑧, hit every key to dominate⑨ on the baseball diamond. And proudly here at home present to their fans a spectacular⑩ show.”
(トップクラスのチームが真の実力を見せてくれました。まるでとても息の合ったオーケストラのようです。つまり、野球のダイヤモンド(=野球という競技、試合)を支配するために個々のすべての楽器を活用して、すべてのキーを打っていました。そして、誇りを持ってこの故郷でファンに華々しいショーを見せてくれました。)
<主な語句>
① unbeaten = 無敗の
② head back to ~ = ~に戻る
③ semifinal = 準々決勝
④ semi = semifinal
⑤ installment = (連載などの)1回分
⑥ synchronized = 同期した
⑦ utilize ~ = ~を活用する、利用する
⑧ instrument = 楽器
⑨ dominate = 支配する、優位に立つ
⑩ spectacular = 華々しい、壮観な
おわりに
見事5大会連続のベスト4進出を果たした侍ジャパン。
解説の方が“a well synchronized orchestra”と表現されていた通り、一人ひとりが思いを一つに息の合ったプレーでチームの勝利に貢献していて、改めて侍ジャパンの強さを実感したとても素晴らしい試合でしたね。
次はいよいよアメリカでの準決勝。
頑張れ侍ジャパン!
cf. WBC2023準決勝 日本vsメキシコ戦の実況動画はこちら
cf. WBC2023決勝 日本 vs アメリカ戦はこちら
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