英語×ニュース

【ニュースで英語を学ぼう!】WBC2023 佐々木朗希選手のお詫びのお菓子

英語ニュースを題材に、英語表現を学ぶ本シリーズ。

今回はWBC(ワールドベースボールクラシック)2023 1次ラウンド 日本対チェコ戦に先発した佐々木朗希選手がデッドボールを当ててしまった相手選手に後日、お詫びの印として 大量のお菓子を持っていったニュースを見ていきましょう。

今回の記事とタイトル

今回はこちらの出来事を報じた、アメリカのスポーツ専門チャンネル ESPNの下記の記事をピックアップさせていただきました。

“Japan’s Roki Sasaki brings bags of candy to apologize for HBP”
(日本の佐々木朗希がデッドボールの謝罪のためにお菓子の袋を持参した※)

引用元:ESPN.com(https://www.espn.com/mlb/story/_/id/35849817/japan-roki-sasaki-brings-bags-candy-apologize-hbp

※英語ニュースでは過去の出来事でもタイトルには現在形が使われます。

cf. WBC2023準々決勝 日本vsイタリア戦の英語実況解説記事はこちら

『デッドボール』って英語でなんて言う?

タイトルに登場した“HBP”は”Hit By Pitch”の略でデッドボールのことを表します実はデッドボール(死球)というのは和製英語で、そのまま使おうとすると”Dead ball” = 『インプレー外のボール』的な意味になっちゃったりします。

 飴だけではない”candy”

ここで登場した”candy”という単語。日本語の『キャンディ』だと飴を想像しますが、もともとは砂糖や水飴を原料とするお菓子の総称なので、キャラメルやチョコレートなんかもひっくるめて”candy”と表現されます。

出来事の概要説明

まずは今回の出来事の概要説明の部分です。

記事&日本語訳

A painful experience at the World Baseball Classic had a sweet ending for William Escala — thanks to an unexpected visit from Japanese phenom Roki Sasaki.
(WBCでの痛みを伴う経験がウィリアム・エスカラに甘い結末をもたらした。日本の天才佐々木朗希の思いがけない訪問のおかげで。)

Two days after plunking Escala with a 101 mph pitch, Sasaki apologized to the Czech Republic outfielder Monday morning and brought him two bags filled with Japanese candy.
(エスカラに101マイルの投球をぶつけた2日後、月曜日の朝に佐々木はチェコ共和国の外野手に謝罪をし、日本のお菓子でいっぱいになった袋を2つ持って行った。)

Sasaki, the emerging ace who wowed in his WBC debut, met with Escala outside the Czech team hotel in Tokyo and also signed a baseball for him. Sasaki, 21, was following a Japanese tradition of giving a gift after hitting a batter.
(佐々木は、WBCのデビュー戦で観客を沸かせた新進気鋭のエースで、東京のチェコチームのホテルの外でエスカラと会い、彼のためにボールにサインもした。21歳の佐々木は打者にボールをぶつけてしまった後、贈り物を渡すという日本の伝統に従っていた。)

 

Japan’s Roki Sasaki brings bags of candy to apologize for HBP

<主な語句>
① unexpected = 思いがけない、予期せぬ、突然の
② phenom = 天才(俗語。phenomenonの短縮形。)
③ plunk ~ = ~にボールをぶつける(野球で用いられる場合。もともとは『~をドスンと落とす』という意味)
④ Czech = チェコの (英語での発音は”チェク”に近い感じです)
⑤ outfielder = 外野手
⑥ fill with ~ = ~で満たす
⑦ emerging = 新星の、新たに生まれた
⑧ wow = 観客を沸かせる
 

『お菓子でいっぱいの袋』って英語でなんて言う?

簡単そうで以外とパッと思いつくのが難しい『お菓子でいっぱいの袋』という表現。この記事でも登場した形で “a bag filled with candy”のように表現できます。『袋』 ⇒ “bag”への変換も意外とパッとは難しかったりしますよね。ちなみにレジ袋は”plastic bag”と表現されます。
 

チェコチームの監督や選手の反応

続いて、お菓子を受け取ったエスカラ選手を始め、佐々木選手の行動に対するチェコチームの監督や選手のコメントが紹介されています。

記事&日本語訳

“He gave me some goodies, and a bunch of different candies and stuff like that,” Escala said. “And then I asked him if he could sign the ball as a memory for me. Something I will keep. Very cool. Something I’ll cherish and never forget.“
(『彼はたくさんのいろいろなお菓子とかそういったおいしいものをくれたのです。』とエスカラは話しました。『それから僕は彼に思い出にボールへサインしてくれないかお願いしました。このサインボールは大切にとっておくつもりです。とてもクール
。大切にするし、一生忘れないです。』)

That was a wow moment,” Czech captain Petr Zyma told MLB.com.
“The Japanese culture never stops to amaze me each day we are here. They once again took it to another level as a superstar that Roki is; he took his time to come to the bus, meet Escala, send us a bunch of candy and sign a ball for Willie. It was a huge sign of respect.”
(『驚くべきひと時でした。』チェコのキャプテン、ペテル・ジーマはMLB.comの取材にそう答えた。『ここに来てから毎日、日本の文化に驚かされてばかりです。日本の文化、この出来事が朗希をまた一段高いレベルのスーパースターに押し上げました。彼は時間を割いて我々のバスにやってきて、エスカラに会い、たくさんのお菓子を我々に渡し、ウィリー(エスカラ選手の愛称)のためにボールにサインしたのです。それは深い敬意の証です。』)

Chadim later told reporters that Sasaki’s apology was “a heartwarming thing and it touched us.“
(ハジム(チェコチームの監督)は『佐々木の謝罪は心温まるもので、我々は感動しました。』と後にリポーターに伝えた。)

“That brings us a huge extra energy,” Chadim said after the Czech Republic’s 8-3 loss to Australia. “I’d like to again thank the nation of Japan.“
(『あの出来事はさらなる大きなエネルギーを与えてくれました。』チェコ共和国がオーストラリアに8-3で負けた後、ハジムはそう話した。『今一度、日本という国に感謝したいです。』)

Japan’s Roki Sasaki brings bags of candy to apologize for HBP

<主な語句>
① goodies = おいしいもの(goodyの複数形)
② a bunch of ~ = 一束の、たくさんの
③ different = 様々な

④ stuff like that = そのようなもの、そんな感じのもの
⑤ ask 人 if ~ = 人に~かどうか聞く
⑥ cherish ~ = ~を大切にする
⑦ wow moment = 驚くべき瞬間
⑧ amaze ~ = ~を驚かせる、驚嘆させる
⑨ huge = 大きな
⑩ apology = 謝罪
⑪ heartwarming = 心温まる
⑫ touch ~ = ~を感動させる、心を動かす

『異なる』という意味以外の”different”

“different”と言えば『異なる、違う』という意味で英語を勉強し始めて最初の方に習う単語ですが、この記事のように複数名詞が後ろに付くと『いろいろな、様々な』という意味で使われることもあります。

例文:These products are made in many different countries.
訳:これらの製品は様々な国で生産されています。

“Wow moment”ってどういう意味?

“Wow”は文字通り『ワオ!』、”moment”は『瞬間』を意味するのでそのまま『ワオという瞬間』=『あっと驚く瞬間』という意味になります。とても単純な連想で使える表現なので、他の表現が思いつかない時は便利な表現ですよね。

心に”touch”で『感動する』

“touch”は『タッチする、触れる』という意味ですが『人の心にタッチする』というニュアンスで『感動させる』という意味でも使われます。また、以下のように受動態で用いられて『~に感動する』という表現でもよく登場します。また、“move”についても『心を動かす』というニュアンスで同様の表現が可能です。

例文:I was so touched/moved by the movie when I was a kid.
和訳:子供のころ、その映画にとても感動した。

改めての事のあらまし

改めて今回の出来事について以下のように詳しく述べられていました。

記事&日本語訳

Sasaki had eight strikeouts over 3⅔ innings in Saturday’s 10-2 victory over the Czechs, allowing one unearned run while topping 100 mph on 21 of his 66 pitches. One of those fastballs — officially clocked at 100.9 mph — hit Escala in his left knee in the fourth inning.
(土曜日10-2でチェコに勝利した試合で、佐々木は3と2/3回を投げて8奪三振、非自責点1 66球中21球が時速100マイルを超えた。4回にそれらの速球の一つが–公式には時速100.9マイルと計測されたが–エスカラの左ひざに当たった。)

Escala crawled on his hands and knees after being hit, rolled over to his back, grabbed his left leg and cried out. He remained in the game, however, until being replaced for a pinch hitter in the ninth inning.
(エスカラは球が当たった後、四つん這いになってはい回り、背中側に転がり、左足を抑えて叫んだ。しかし、彼は9回に代打で交代させられるまで試合に出場し続けた。)

Sasaki was lifted from the game one batter later and tipped his cap — another sign of respect in Japanese baseball culture — to Escala as he walked off the field at the Tokyo Dome.
(佐々木はエスカラの一人後の打者で試合から降板し、東京ドームの試合場から立ち去るときに帽子のつばに触れてエスカラに挨拶した。–(帽子のつばに触れる動作は)日本の野球文化ではもう一つの敬意を示すサインとされる–)

Behind a star-studded roster that also features major league stars Shohei Ohtani and Yu Darvish, Japan went 4-0 in Group B play and will face Italy in the WBC quarterfinals Wednesday.
(大谷翔平やダルビッシュ有などのメジャーリーグのスターを始めとしたスター軍団を擁する
日本はグループBを4勝0敗とし水曜日のWBC準々決勝でイタリアと対戦する予定です。)

Japan’s Roki Sasaki brings bags of candy to apologize for HBP

<主な語句>
① unearned run = 非自責点。味方のエラーなど投手のプレー以外が原因の失点。
(投手成績の指標についてはこちらのおまけ部分もご覧ください)
② top ~ = ~を超える
③ pitch = [名]投球
④ fastball = 速球、ストレート
⑤ clock ~ = ~を計測する、記録する
⑥ mph = miles per hour マイル/時
⑦ knee = 膝
⑧ crawl on one’s hands and knees = 四つん這いになってはう
⑨ roll over to one’s back = 背中の方にあおむけに転がる(roll over onto one’s back)
⑩ cry out = 泣き叫ぶ
⑪ remain = 残る
⑫ pinch hitter = 代打。ピンチヒッター。
⑬ lift 人 from the game = 人を試合から降板させる
⑭ tip one’s cap/hat = あいさつのために帽子にちょっと触る/持ち上げる
⑮ star-studded = 星をちりばめた、スター揃いの
⑯ roster = 名簿
⑰ quarterfinal = 準々決勝

『四つん這いではう』って英語で何て言う?

『四つん這いではう』は英語だとcrawl on one’s hands and knees”と表現されます。crawl(はう)+on one’s hands and knees(手と膝をついて) と分解すると覚えやすいかもしれません。ちなみに『四つん這いになる』は”get on all fours”と表現され、”all fours”というのが『人間の手足』を意味します。

“star-studded”ってどういう意味?

“studded”というのはstud(~に飾りびょう/スタッドを打つ、ちりばめる)という動詞の過去分詞系で”ちりばめられた”という意味になります。ですので、”star-studded”は直訳だと『星がちりばめられた』となるのですが、そこから転じて『スター達がずらりと揃った』という意味で使われるようになりました。

おわりに

佐々木選手の誠実さもさることながら、デッドボールを当てられたエスカラ選手を始め、チェコチームの人々の紳士的な振る舞いもすごく素敵だなと思いました。

今回のように国境を越えた心温まる交流が生まれるのもスポーツの醍醐味の一つと言えますよね!