エンゼルス大谷翔平選手の活躍が目覚ましい2021年。
毎朝の野球ニュースを楽しみにしている人も多いですよね。
日本語訳がついたニュース動画もいいですが、現地の英語実況・解説を理解できるようになるとより一層楽しめると思います。
大谷選手を応援しつつ、野球実況を通して英語力も鍛えられれば最高!!
というわけで実際のMLB実況動画に登場する英語表現について取り上げていきたいと思います。
今回の実況動画
今回は大谷選手が2021年シーズン38号ホームランを打ったこちらの動画(MLB公式動画より)を取り上げました。
引用元:MLB公式Youtubeチャンネル(https://youtu.be/L4y7DMogmPI)より
動画のタイトルについて
動画タイトル の
“Shohei Ohtani CRUSHES home run No. 38!”
から見ていきましょう。
登場する主な単語の意味は以下の通りです。
<主な語句>
crush = かっ飛ばす
というわけで日本語にすると、
『大谷翔平が38号ホームランをかっ飛ばした!※』
となります。
※英語ニュースでは過去の出来事でもタイトルには現在形が使われます。
それでは動画の内容に移りましょう。
Scene1 ハードヒット率ランキング
まずは0:00~0:28でハードヒット率のランキングについて触れているシーンです。
再生ボタンを押すと該当時間から始まります↓
スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
実況者(play-by-play commentator):
“Here’s Ohtani, who got into one in his first at bat① put a hard liner to the warning track② in right and KIA’s player profile brings you the American League leaders in Hard Hit③ percentage. Judge, Stanton, Angels will see them in a couple of weeks. Sal Perez and then you’ve got Ohtani and the other MVP candidate④ Vladdy Jr.”
(大谷の登場です。最初の打席ではライトのウォーニング・トラックへ強烈なライナーを飛ばしたもののアウトになりました。そしてKIAのプレイヤープロファイルがアメリカンリーグのハードヒット率の上位陣を見せてくれています。ジャッジ、スタントン、エンゼルスは2,3週間後に彼らと対戦します。サルバドール・ペレスそして大谷ともう一人のMVP候補のブラッドJr.が上位陣に入っています。)
<主な語句>
①at bat = 打席
②warning track = ウォーニング・トラック(外野のフェンス直前の芝が植えられていないゾーン。外野手にフェンスが近いことを知らせる目的で設置されている。)
③Hard Hit = ハードヒット(打球速度が時速95マイル以上のヒット)
④candidate = 候補
補足説明 ~Hard Hit~
このシーンで登場したHard Hitについてもう少し掘り下げます。
現在、MLBでは『スタットキャスト』と呼ばれるプレーデータを解析するシステムが導入されており、選手自身のデータ活用はもちろん、解析結果を即座に可視化する等して野球の面白味を向上させ、人気の低迷しつつある野球の魅力度アップに活用しています。
強打者の指標としてよく登場するのが
①打球速度(Exit Velocity)
②飛距離(Distance)
③ハードヒット率(Hard Hit)
④バレル率(Barrels)
の4つで、今回登場したHard Hitはその一つです。
この他にも日本でもおなじみの出塁率(OBP=On-base percentage)はもちろん、
ホームランをDoubters(疑惑のホームラン)、Mostly Gone(ほとんどの球場でホームラン)、No Doubters(文句なしのホームラン)の3種類に分けてカウントしていたり、NPBでは見られない様々な指標で解析された結果をネット上で誰でも見られるようになっているので是非チェックしてみてください!(『statcast』で検索すると一番上に出てくると思います)
Scene2 第一打席の振り返り
続いて0:32~1:00で、強烈な当たりを放った第一打席について振り返っているシーンです。
スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
実況者(play-by-play commentator):
“Yeah, Hernandez at the track① and leaping② made the catch③. He didn’t rob④ a home run but it was uh…it was a hefty⑤ shot. There’s a strike. Let’s just say⑥ it brought everyone into Ohtani show out of their seat.”
(ええ、ウォーニングトラックで打球に飛びついたヘルナンデスがキャッチしました。ホームランを奪えませんでしたが強烈な当たりでした。(初球が投げられて)ストライクです。とりあえずその当たりが観客全員を自分たちの席から大谷ショーへ連れて行ったと言っておきます。)
解説者(color/expert commentator):
“He just missed that but he had really good balance for the swing on that one. Good to see that. Shohei 1st pitch from Manoah. A change-up he threw to Shohei 1st one.”
(ちょっと打ち損じたけど本当にいいバランスであの球をスイングで来ていたよね。あれが見れたのはいいことだよ。マノアの初球はチェンジアップだったね。)
<主な語句>
①track = (ここでは)warning track
②leap = 飛びつく、跳ぶ
③make the catch = キャッチする
④rob ~ = ~を奪う
⑤hefty = 強い
⑥let’s just say ~ = とりあえず~と言っておこう、~ということにしておこう
補足説明 ~let’s just say~
このシーンで登場した”let’s just say”について掘り下げます。意味は上述の通りですが、もともとは”Let’s say ~”=『仮に~だとしたら、例えばでいうと~』というフレーズから派生したものです。
“Let’s say ~”も海外ドラマとかでもよく登場するので、覚えておいて損はないフレーズです。以下に例文をいくつか挙げてみました。
例文1:”Let’s say he is right.”
訳:『仮に彼が正しいとしよう。』
例文2:”Can you come here within, let’s say, thirty minutes?”
訳:『例えば30分後くらいにここに来れるかな?』
Scene3 これまで放ったホームランの累積飛距離
続いて1:03~1:24で、大谷選手が今シーズンこれまでに放った37本のホームランの累積飛距離について触れているシーンです。
スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
解説者:
“Good hacking① a 94 mile an hour fastball. So far② this year Shohei Ohtani as far as how many feet of home run 15441 feet, as far as③ his home run distance combined④ with his 37 home runs.”
(94マイルの速球をうまくぶった切るように打ったね。今シーズンここまでで、大谷翔平のホームランの飛距離は15441フィートなんだ。彼が放った37本のホームランの飛距離を合算するとその距離になるんだ。)
実況者:
“That would get you well past the Honda Center⑤ from here.”
(ここからホンダセンターを余裕で超えそうな飛距離ですね。)
解説者:
“Yes.”
(そうだね。)
実況者:
“Maybe all the way⑥ to Yorba Linda⑦.”
(もしかしたら遠くヨーバ・リンダまで届くかもしれませんね。)
<主な語句>
①hack ~ = ~をたたき切る、ぶった切る
②so far = 今のところ、ここまでで
③as far as ~ = ~に関する限りでは
④combine ~ = ~を結合する
⑤Honda Center = ホンダセンター。アナハイムにある屋内競技場。
⑥all the way = はるばる
⑦Yorba Linda = ヨーバ・リンダ(カリフォルニア州の都市名)
補足説明 ~大きな数字の読み方~
このシーンで登場した15441等の大きな数字の読み方について掘り下げます。
ポイントとしては『1000以上の数値については3桁ずつに区切って読む』ということです。
以下にどういうことかを示しました。
というわけで15441の読み方としては15,441=”fifteen thousand four hundred (and) forty-one”となります。
日本語に慣れている分、英語の数字の読み方って咄嗟に出てこなくて面倒だな~思うことが多いのですが、こうやって日本語の位の読み方と比較すると英語の方が1000倍ごとに単位が用意されていて統一感がありますよね。
Scene4 ホームラン
最後に1:52~2:38の38号ホームランが飛び出すシーンです。
スクリプト&語句
スクリプトや登場する語句は以下の通りです。
<スクリプト>
実況者:
“Ohtani to center field. That’s deep. Back goes Springer. At the wall. Gone! 38! Tie game!”
(大谷、センターへ。深いぞ。スプリンガーが下がる。フェンス際。入った! 38号! 同点!)
解説者:
“So we’re gonna add① another 400+② feet on the home run distance. 38th of the year for Shohei Ohatani! Shohei the money!③ On a swing tying it up④ at two.”
(これでホームランの累積飛距離がさらに400フィート以上増えることになるね。大谷翔平の今年38番目のホームラン! 翔平が価値を示した! 2点の同点に追い付くスイングで。)
実況者:
“The young right-hander⑤ went right after⑥ him. “
(若手の右バッター(ゲレーロ Jr.)が彼のすぐそばまで迫っていました。(がまた引き離しました))
解説者:
“So that’s two really good swings in a row⑦ for Ohtani.”
(連続で2本、大谷にとって本当にいいスイングができていました。)
<主な語句>
①add A on B = AにBを加える
②~+(plus) = ~以上
③Shohei the money! = “Show me the money!(金を見せろ!)”にかけて、
“これが翔平の真価だ!”、”翔平がやってのけた!”的な意味合いで用いられているフレーズ
④tie it up = 問題を解決する
⑤right-hander = 右利きの人、右打ち、右投げ
⑥go after~ = ~の後を追いかける
⑦in a row = 連続で
補足説明 ~ in a row ~
このシーンで登場した“in a row”について掘り下げます。
“row”の意味は『列』という意味なので、
in a row = 一つの列の中で = 一列に並んで = 連続して という意味になりました。
同様の表現では”back to back”や”in series”、”continuously” 等があります。
例文:”He is absent from school today. That’s 2 days in a row.”
訳:『彼は今日学校を欠席しています。これで2日連続です。』
おわりに
いかがだったでしょうか。
少し調子を落として心配されていた大谷選手ですが、復調を予感させる強烈なホームランを放ちました。
このホームランで累積飛距離は約16000フィート(約4.9km)となりました。今シーズン終了時までにどれだけの距離になっているのか…わくわくしますね!
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